第15章 冬島
住民たちは誰一人喋らない。
ただ同じ方向を向いたまま、動かなくなる。
雪だけが静かに降り続いている。
ウソップが声をひそめる。
「な、なぁ……あれ絶対ヤバいやつだろ……」
チョッパーが小さくうなずく。
「おれ、帰りたい……」
ルフィはじっと奥を見ていた。
「行ってみようぜ」
「却下だ却下!!」
ウソップが即座に叫ぶ。
そのとき。
町の奥。
霧の向こうで、何かが動く。
白い景色の中に、黒い影だけが浮かぶ。
サンジの目が細くなる。
「……誰かいるな」
影はゆっくり近づいてくる。
雪を踏む音はない。
でも、距離だけが縮まっていく。
住民たちは誰も見ない。
まるで最初から“そこにいないもの”みたいに。
みかの指先が冷える。
チョッパーがぎゅっと手を握る。
「……やだ、あれ」
影が霧を抜ける。
そこに“人”が立っている。
長いコート。
深く被った帽子。
顔は見えない。
でも、こちらを見ているのだけは分かる。