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かるら怪談

第34章 鬼送り


☆☆☆
誰がやり始めたかわからない遊びなんだけど、『鬼送り』っていう遊び。

『鬼送り』をつけられると、7日以内に鬼を離すか、送り先まで送ってあげないといけないの。
そうしないと、3日目に鬼の影を見るの
4日目に鬼の声を聞いて
5日目に鬼に追いかけられる
そして、6日目には鬼に捕まって
7日目には、死んじゃうの・・・

実際、隣のクラスのSさんが鬼をつけられて、5日目まで誰にも鬼をつけられなかったの。そうしたら、本当に鬼に追いかけられて、階段から落ちたの。

鬼をつけられると、鬼が取り憑く。つけられた子には、みんな近寄らないようにしていた。自分がつけられないように、口も聞かない。
それでも、なんとかしてみんな別の子に鬼をつける。そうすると、その子がまた、無視される。

クラスの子、みんな知っている。
みんなでやっている怖い遊び。

☆☆☆
「これがいじめの正体だったんだ。みんなで、この気味悪い遊びをやっていたんだ。でも、この話をT子から聞いて以来、そのいじめはピタッと止んだの」

なんにせよ、いじめがやんでよかったね、と私は言った。
鬼に追いかけられて階段から落ちたSさんという児童は本当にいるのだそうだ。1ヶ月位前に階段から落ちて、足の骨を折ってしまい、今でも松葉杖をついているという。

「そろそろ出よう」

A子が言った。確かに、9時を回っている。明日はお互いに仕事だ。まだ週の半ばも過ぎていないのに、これ以上遅くなるわけにはいかない。

一緒に飲んでいたバーから駅までの道は人通りが少ない暗い道だった。傍らに小さい公園がある。まだ、駅まではもう少し距離がある。

道すがら、他愛のないおしゃべりをしながら歩いていた。
私はふと気になったことを聞いてみた。

そういえば、鬼って、どうやって人につけるの?

A子はふふっと笑みを漏らした。

「昨日はこんな道、歩けなかったよ。怖くて」

確かに、女一人では怖いだろう。
「T子からあの話を聞いたのは、先週の土曜日だった。今日は木曜日。ギリギリだった」

え?
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