第32章 現代風の呪い
Yは伝をつたってRやGの引越し先を調べると、すぐにその地域の様々なIT掲示板にMが流したツイートのURLを貼り付けていった。実は、何度か当該ツイートは削除されたのだが、Y自身が魚拓をとっており、いろんなアカウントを使って再投稿を繰り返していたのだった。
Yはそうやって彼らが引っ越す先々で噂を流していった。その間も、RやGの様子を観察し、死を確認するまで付け回していたようだった。
その様子は日記に克明に記載されていた。
Fについては、Yも苦労したようだった。父親の機転により、足取りが容易に追えなかったからだ。そこで、Gの死亡を確認した後、なけなしの金で私立探偵に依頼したようだった。結局、例のネットニュースはその私立探偵のアイデアだったのだ。殆どの人がMに同情的なコメントをする中、Mの行為に批判的なコメントをしたFの投稿は目立ったのだ。そこから、居場所を特定するまでにはさほど時間がかからなかった。
「Fを刺殺したことも日記に書かれていたよ。ついでに凶器のナイフも部屋から出てきたから、F殺害犯はYで決まりだった。」
Aさんは、ここまで話すと、一息ついた。
「さっき、Yは公的に3人を裁くことができないと悟り、それで自分で鉄槌を下すことにした、と言っただろう。俺も当時、そう報告書に記載した。でも本当は、そこに書かなかったことがあるんだよ・・・」
Aさんは証拠品の日記をめくる。Mの死から、学校の説明、教育委員会の調査の履歴、自分で聞き取った内容、教育委員会の調査結果に対する憤り、失意と絶望。
「日記をめくって、Mの死から3ヶ月後。そのページには、中央にこう書かれていた。
『お父さん、あいつらを殺して』
その筆跡は、どうみてもYさんのものじゃなかったんだ。」
念の為、筆跡鑑定に回したところ、その筆跡はMのものと一致した。日記はその記述の前も後もびっしり書かれている。
Mが死んだ後に書いたとでも言うのだろうか?
Yはこの記述の後から、離婚をして、R、G、Fの殺害を計画している。
「そんなバカバカしいこと報告書に書けないだろう。死んだ人間が、殺人を教唆したなんて。」
だから、俺は呪殺班なんて言われるんだよなーとAさんは笑って言った。