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かるら怪談

第31章 首切り服


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祖母がまだ幼い頃、祖母の祖母、つまり、私から見た曾曾祖母に当たる人が、美しい紫地の着物をどこからか手に入れてきたそうです。年齢にしては少々派手かとも思えるその着物を、曾曾祖母はたいそう気に入ったそうです。

ところが、その着物を着て何度目かの外出の際、曾曾祖母は通り魔に刃物で首を掻き切られて惨殺されたとのことでした。不思議なことに、首を切られて飛び散ったはずの血は、一滴たりとも着物を汚すことはなかったそうです。

この着物の話はそれにとどまりません。その着物を母の形見とした曾祖母がその着物を身につけるようになると、今度は、程なくして曾祖母が倒木に頭を潰されて死んでしまったのです。このときも着物には血がつくことはなく美しいままだったといいます。

着物は祖母に遺されました。曾祖母の通夜の際、桐の箱に収められた形見の着物を前に、まだ10歳そこそこだった祖母は泣きはらしたといいます。当時の通夜は家族が総出で一晩中起きていることを求められました。とは言っても全員で遺体の安置されている部屋にいるわけではなく、そこには一人二人の番を残して、他の者は別の部屋にいたのです。番の人はロウソクの灯と線香の火を絶やさぬようにしますが、それ以外は特にやることもないので、席を外すことも多かったようです。

まだ幼くして最愛の母を亡くした祖母は、泣きはらした目で、曾祖母の安置されている部屋を何度も覗きに行ったそうです。そこには、遺影の中とは言え、愛しい母の姿があったからです。何度目か、遺体の置かれている部屋を見に行ったときでした。
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