第30章 よもつへぐい
☆☆☆
しかし、その読みは甘かった。1日経ち、2日経ち、あっという間に吹雪に閉じ込められ3日が経った。俺たちは、空腹と疲れ、寒さでだいぶ弱っていた。
「寝たら死ぬぞ」、三文小説でよく聞く話だが、まさか自分がそんな状況に立たされるとは思わなかった。入山届は出していた。今頃は、捜索が始まっているはずだ。しかし、この吹雪では思うように救助活動も進んでいないのかもしれない。
俺たちは互いに話が途切れないようにしながら、必死に励ましあっていた。
そのうち、いつの間にかBが全く話をしなくなった。
「おい!B!B!!」
俺は揺すったが、Bは糸の切れた人形のように首を垂れたまま、ピクリとも動かない。Bの冷めつつある体。俺は生まれてはじめて人の死というのを実感した。