第29章 自殺の名所
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約束の土曜日、出発は午後7時。俺3人はファミレスで夕食をとり、近くのコンビニで飲み物やらお菓子やらを買い込み、ちょっとしたピクニック気分でL岬を目指した。
L岬の突端まで行くには、岬近くの車道から10分ほど歩く必要がある。まあ、これだけ道路から離れており、人目につきにくく、かつ、行きにく過ぎもしない、というところが自殺の名所たる所以なのかもしれない。
俺たちは、岬の突端へと続く道近くに車を止め、懐中電灯を携えて岬の突端を目指した。当然、突端への道には県が設置した『立入禁止』の古びたフェンスがあったが、構わず侵入する。
道は特に整備されておらず獣道のようなものだった。電灯もないために、夜歩くには懐中電灯が必須だった。車に乗っているときには少し楽しいかなとは思っていたが、ここにきて、俺は来たことに後悔し始めていた。
歩くこと約10分、若干顎が出始めた頃、視界がぱっと開け、墨を流したような夜の海が眼下に広がった。岬の突端についたのだ。岬の突端は、左右10メートルくらいはあるだろうか、意外と広かった。落下防止か自殺防止かのために、一応柵が設けられているが、見晴らしは良かった。遥か下方からは、絶え間なく岩肌を打つ、うなるような波音が響いてくる。確かに落ちたら命はないし、あの波の荒れようからみても死体が上がらないというのもあながち嘘ではないようだ。
俺がおっかなびっくりして柵に近づこうとしないでいる中、AとB子は柵越しに下を覗き見ている。そして俺にスマホで記念写真を撮って欲しいと言ってきたのだった。