第3章 弐 兄上
ゆっくりと、確実にふりかえる。
そこには、狂乱の貴公子桂小太郎。
涼花の兄、桂小太郎が立っていた。
銀時「よォヅラ。感動の再会だぜ。」
桂は涼花の顔を見て目を見開いた。
桂「涼花……」
涼花「兄上……」
二人の黒髪を同じ風が柔らかく揺らす。
それはまさに8年ぶりの事だった。
桂は徐々に顔を歪ませていく。
泣きそうになるのをこらえて。
そして、潤んだ目で優しく微笑み、呟いた。
桂「ただいま……お待たせ。」
その笑顔は涼花も見たことがあるものだった。
8年前、
桂「いってきます……さよなら。」
そう言ったときと
変わらぬ笑顔だった。