第4章 ギリシャ神話
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ずっと孤独に過ごしていたゴルゴンは、ある日、一人の幼い妖精マーシャに出会いました。マーシャは金色の羽を持ち、光り輝く柔らかな薄い服を着ていました。亜麻色の髪は可愛らしくカールし、その微笑みは、どんな人でも幸せにする魔法の力を持っていました。
ゴルゴンはマーシャに声をかけました。マーシャといるとゴルゴンは、少しだけ昔の美しい姿に戻っていたのです。口から吐く息も、その毒が薄くなりました。顔も優しくなりました。
彼女はマーシャを自分の娘のように可愛がりました。マーシャの母親オケアニデスは、ゴルゴンと一緒にマーシャを育てようと思いました。
しかし、ゴルゴンの心の中の悪い言葉たちはなくなってはいなかったのです。その言葉たちはじわじわとゴルゴンの口から溢れ出し、マーシャやオケアニデスを苦しめました。マーシャの金色の羽は灰色にくすみはじめ、その微笑みの魔法も弱くなっていきました。
そんなマーシャの様子を心配したオケアニデスは、英雄ペルセウスに相談しました。話を聞いたペルセウスは、祭壇を立て、記憶の神ムネモシュネに祈りを捧げました。ムネモシュネはペルセウスに、ゴルゴンの黒い心の秘密を教え、彼にアポロンの神殿に行くように告げました。
「ゴルゴンの黒い心が癒えるかわからない。けれど、それを癒せるとしたら治癒の神、太陽の神アポロンをおいて他にないだろう」
ペルセウスは翼のある馬ペガサスに乗り、アポロンの神殿に行きました。そして、神殿でアポロンに祈ったのです。
その夜、アポロンが夢に立ち、こう告げました。
「わが太陽の光を込めたオーブを持っていくがよい。神殿の西に生えている薬草で薬を作るがよい。太陽の光をゴルゴンが受け入れ、薬を飲み干せば、その心はきっと癒えるであろう」
ペルセウスは言われたとおりにオーブを持ち、薬を作ると、すぐさまペガサスに飛び乗り、ゴルゴンたちが住む谷に向かいました。
ペルセウスはゴルゴンに言ったのです。
「あなたの心を癒やしに来た。あなたの心の悪い言葉を取り除きに来た。
さあ、このオーブを手に持ち、このアポロンの薬を飲んでください」