かぐや姫だって幸せになりたい!!【銀魂 坂田銀時】
第4章 彼はかぐや姫を取り戻したい!!
銀時の胸の中でひとしきり泣き笑った彼女が、名残惜しそうにその身体を離すと、銀時は少し照れくさそうに、けれど慈しむような目で彼女を見つめた。
「……なぁ、」
「はい、銀さん」
銀時は、目の前で赤く頬を染めているの瞳をじっと覗き込んだ。
「前の俺は、お前に『自由になれ』なんてカッコつけたこと言って、結局寂しい思いさせただけだった。……今のお前は、どうだ。……こんな掃き溜めみたいな街で、俺みたいな天パの隣にいて……お前は、今、幸せか?」
は一瞬だけ驚いたように目を見開いたが、すぐに花が綻ぶような、これまでで一番輝かしい満面の笑みを浮かべた。
「はい! ……最高に、幸せです」
彼女は銀時の大きな手を、両手でぎゅっと包み込むように握りしめる。
「銀さんがいて、新八さんがいて、神楽ちゃんや定春がいて……。皆さんと囲むお鍋があって。……一千年前、月で見上げていたどんな光よりも、今の私の毎日は温かくて、眩しいんです。銀さんの隣にいられる今が、私の人生で一番の幸せです」
一点の曇りもないその言葉に、銀時はふっと力を抜いて笑った。
かつて『銀』として力尽きた時に抱えていた後悔も、その笑顔一つで報われたような気がした。
「……そっかよ。なら、合格だ」
銀時は彼女の手を握り返し、ゆっくりと歩き出した。
「やっぱり物語っつーのは、これくらいベタなハッピーエンドじゃなきゃな。……さぁて、帰ったら残り物の鍋でも温め直すか」
「ふふ、賛成です! 明日の朝ごはんは、私が頑張って作りますね」
「おう、期待しないで待ってるわ」
「ひどいです、銀さん!」
そんな他愛もない会話を夜の静寂に溶かしながら、二人の影は重なり合って万事屋の明かりへと向かっていく。
一千年前の悲劇を塗り替えたのは、天の理でも神の奇跡でもない。
ただ、一途に想い続けた女の執念と、それを二度と離さないと誓った男の意地。
夜空に浮かぶ月は、もう二人を分かつ壁ではない。
ただ、幸せな二人の帰路を優しく見守る穏やかな夜光だったーー。