第4章 【日車】有限の閃き
現在日車が身を寄せているマンションの駐車場に着くと、運転中にメッセージ受信音が鳴っていたスマホを開く。
メッセージはもちろんから。
『今日はありがとうございました!』
メッセージの後にフクロウと仲良さげに頬を寄せて撮った写真。
また画面でも見ているのだろうか、目線が合っていない。
『目線が合ってない。70点』とだけ返信した。
何となくまだ部屋には戻りたくなくてからもらったコーヒーの缶を開ける。
飲んだ分だけ息を吐く。
ブラックコーヒーなのに少し甘く感じた。
缶を見てみると『微糖』と書いてある。
日車はフッと息を漏らす。
苦いだけではない。
完全に甘いわけでもない。
なかなからしいな、と思った。
そうしているとまた受信音が鳴った。
写真の添付。
開いてみると満点の笑顔のと満足げなフクロウ。
追加でメッセージが浮かび上がる。
『目を閉じちゃえば問題ありませんでした!』
全くもってらしい。
『努力は認める』
そう送って日車も1枚写真を撮る。
助手席でシートベルトを締めているぬいぐるみ。
それを添付。
『おやすみ』と送信して画面を消した。
開けたコーヒーを一気に飲み干す。
「さて、と」
隣のぬいぐるみを見る。
可愛い瞳で真っ直ぐ前だけ見据えている。
日車が何かを決するのをただ静かに待っている。
「……今日だけだ」
そう言ってぬいぐるみのシートベルトを外して抱えてやる。
片手にぬいぐるみ。
もう片方にはパンパンのレジ袋。
胸ポケットにはプリクラ。
スマホの中にはの笑顔。
「なかなかに、重いな…」
そう言って自らの日常に向かって歩き始めた。
――君の時間が永遠だとして
有限の俺の閃きなど
瞬き1つにも満たないだろう
そんな一瞬の煌めきを
君は永遠に覚えていてくれるだろうか――