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【呪術廻戦】誰も知らない【日常】

第4章 【日車】有限の閃き


日車は任務の報告ついでに談話室を覗いた。
高専に立ち寄ることがあれば談話室に向かうのはほぼ習慣のようになっていた。
談話室の窓辺にが佇んでいる。
日車が近づいても気づく様子はない。
何か見ている訳ではないことは瞳を見ればわかる。
思考が内に向いている。
しばらく眺めていたが戻って来る気配がない。

「考え事か?」

日車の声かけにの体がビクリと跳ねた。
その様子が小動物のようで破顔を禁じ得なかったが理性で噛み殺す。

「日車さん…!」

「何かあったか?」

「いえ…」

日車の経験上、これは自白を促せる間だった。

「はアウトプットした方が思考が広がるタイプだと認識してる」

強要はしない。
あくまで背中を押す程度。
は少したじろぎはしたが口を開いた。

「…たまに…私がしたことは正しかったのかなって思ってしまうんです…」

日車は沈黙で継続を促す。

「…無くなったものを、形はどうあれ、力で取り戻してしまった…自然の摂理を…時間の法則を…命の尊厳を…捻じ曲げてしまったんではないかと、たまに怖くなるんです…」

「そうか」

不安に揺れるの瞳を見ているとかける言葉は慎重になる。
彼女の中にストンと落ちる言葉は、今のところない。
彼女の受け取る準備ができていない。

「俺に術式が開花して死滅回游が始まったとき、俺は人を殺した。それでタガが外れたのか色々とどうでもよくなったんだ。その時、俺はどうしたと思う?」

「えっ…と…」

脈絡のない日車の話に戸惑っているのか、それとも考えてもいい考えが思い浮かばないのかは口籠る。
日車としてはここでのの回答は目的ではないので話を続ける。

「俺はやってはいけないと思い込んでいたことにチャレンジしたんだ」

今まで2人並んで外を眺めながら話をしていたが、ここまで来てようやくは日車の方を見た。
日車もの瞳をまっすぐ捉えた。

「具体的には服を着たまま風呂に入ってみた」

日車の真面目な表情と出てきた言葉のミスマッチには一瞬黙った。
その一瞬で日車がスーツで湯船に浸かっているところを想像したのだろう。

「…ふ、ふふ、本当ですか?」

どうやらアイスブレイクは成功したようだ。
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