第1章 【脹相】新月
新宿決戦後、呪術師の人手が足りない時には脹相も任務に参加するようになった。
まだと長時間離れることで何が起こるかわからないため、出来るだけ近場の案件を回してもらえるようにだけ根回ししていた。
この日も朝に出発して夜に帰るというギリギリ日帰り案件を言い渡されている。
「おはようございます、脹相。今日は任務でしたよね?お弁当作りましたけど持っていきますか?」
どんなに早い時間の出発でもは弁当付きで見送ってくれる。
「あぁ、もらおう」
「あ、脹相ばっかズリぃ」
「悠仁くんの分もありますよ」
「やった、さん、大好き!」
脹相と共に任務に行く予定の虎杖もちゃっかり弁当を受け取り、手を振りながら出発していった。
目的地まで向かう車の中。
「悠仁」
脹相が神妙な面持ちで虎杖を呼ぶ。
ちなみに2人は早々にから受け取った弁当を食べている。
「何?」
虎杖はバクバクと弁当を食べながらも器用に返事をした。
「あれはどういう意味だ?」
「あれって?」
「に『大好き』と言っていただろう?」
「え?そのままの意味だけど?」
「…悠仁、お前はに想いを寄せているのか…?」
「へ?いや、それはないけど?」
「しかし、『大好き』とは…」
「そんな深い意味じゃないし、さんだってそんな気にしてなかったっしょ」
「そうか…」
その後は黙って弁当を食べてる脹相を尻目に虎杖は弁当を食べ終わり、ペットボトルのお茶も一気に飲み干した。
「ごっそーさん!脹相、さんに美味かったって伝えておいて!テレパシーみたいなの使えんでしょ?」
「あぁ、まぁな」
「それ、便利よな。スマホなくてもいつでもどこでも連絡取り放題」
「あぁ、そうだな」
「でもさ、大切なことって口に出して言わなきゃ伝わらんよ?」
「…あぁ、わかっている」
脹相も弁当を食べ終わったので虎杖に言われたこともあり、とりあえず礼だけでも言っておくことにした。
〝弁当、ありがとう。悠仁も美味いと言っていた〟
(もう食べたのかと驚かれるかもな…)
がどんな反応をするのか考えるだけで顔が緩む。
しかし、からの返事はなかった。