第2章 【脹相】ジャッジマンの戯れ
この日は任務はなかったので虎杖と稽古に励む脹相。
赤血操術の訓練を積みたいという虎杖の要望に応じてやるが、脹相の抽象的な説明ではどうにも上手くいかず、「もういい!1人でやる!」と稽古場から弾き出されてしまった。
(悠仁は反抗期なのか…?まぁ、兄にだけ見せる顔なのだろうな、まったく世話の焼ける…)
と、顔をニヤつかせながら廊下を歩いていた。
思いがけず時間が空いたので、は何をしているだろうかと気配を探る。
意外に近くで気配を感じた。
何やら楽しく過ごしている気配だ。
が何を楽しんでいるのか脹相も楽しみにしながらそちらへ向かったのだが、廊下を曲がった瞬間に動きが止まる。
視線の先でが誰かと楽しそうに話をしていた。
相手は日車。
(…近い…!)
二人の距離が近すぎると脹相は感じているが、実際は人が会話する一般的な距離である。
脹相はゆっくり近づいていく。
気配を消してもいないのに二人は話に夢中で脹相の存在に気づかない。
「あの判例の解釈は…」
「過去にあった〇〇の事件の判例では…」
「あの法令は✕✕年に改正されたので…」
何やら小難しい話を楽しそうにしている。
一通り話した後で、
「と話していると判例解釈が広がるな。過去の事件の判例までよく覚えている」
と珍しく日車が少しだけ微笑んでいる。
(…名前呼び…!?)
「伊達に長生きしてませんから。私も日車さんとお話してると知見が広がります」
もニコニコと人懐こい笑顔を見せている。
(…他の奴にそんな顔で笑うな…)
「いっそ今からでも弁護士になって俺をぶち込んでくれないか?」
(…求婚!!?)
「おい、日車寛見!」
我慢の限界が来て、つい声を上げてしまった。
「ん、なんだ?」
「あ、脹相!」
日車が驚いていない辺り、もしかしたら脹相の存在には気づいていたのかもしれない。