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海に漂う星屑のように

第3章 海を見下ろす


「おにーさん、これで勝負しよう」
そう言って、陽菜多が示したのはレーシングマシンだった。複数プレイヤーで一斉に競争することができるもので、コースとしては都市や砂漠、ジャングルなどが選べる。

席につき100円玉を3枚投入すると、陽菜多がちょいちょいとハンドルを操作して砂漠コースを選ぶ。目の前に砂漠の景色が広がる。赤い自分の車両のフロントガラスを模した画面の左前に、エンジンを吹かしている青色の車両が見える。あれが陽菜多の車両ってことか・・・。

「じゃあ勝負ね・・・。負けた方が勝った方の言う事聞くんだよー」
なんて言うが、今の時点で十分俺は奴隷のごとく言うこと聞いてるじゃねえか・・・と心の中でツッコミを入れた。

言わねえけど、な!

ブオン、とアクセルを踏み込み、エンジンをマックスまで吹かす。画面の景色が後ろに流れ、加速している様子が分かる。俺のマシンは最初の踏み込みが成功したようで、あっという間に陽菜多のそれを追い越してみせた。

「あ、ずりい!」
ずるくはねえだろ!
こちとら一応、警察官だ。レーシングマシンごときで素人に負けたとあっちゃ、沽券に関わるってーもんだ。

その後も、俺の華麗な(?)ドライビングテクニックは冴え渡り、小刻みなハンドルワークで岩を避け、ブレーキとアクセルを駆使して砂丘を乗り越え、市街地のヘアピンカーブをドリフトで曲がり切った。

「これで・・・どう・・っだ!」
ひゅん!とゴールゲートを通り過ぎ、チェッカーフラッグがはためく画像がバックミラーに映る。続いて数十秒後に陽菜多の車がゴールインした。

「あー・・・負けたあ!おにーさん、さすがだね」

へへ、言うこと聞かなきゃだね、俺が・・・

そんなこと言って、陽菜多がハンドルを持ったまま天を仰ぐ。
あれ?もっと子供っぽく悔しがるかと思いきや・・・

意外と爽やかな笑顔だった。

その後も、落ち物ゲームや、懐かしのエアホッケーなどの対戦をした。
十分に楽しんだ頃には、時刻は5時になろうとしていた。

外に出ると、さすがに日が陰り始めていた。

外に出た時、陽菜多が『それ』と言って、俺の持っている紙袋を指さす。
渡すと、中からマフラーを取り出して、くるりと無造作に首に巻き付けた。
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