第26章 すれ違い
ピッ…
また、いつもの帰り道
携帯を開くとまた一件のメール
“和也”
本文―――
先に帰ってますね。
今日は早く終わったんです。
ごはん作っときますから。
和也…何で今日なの?
一人で冷静に考えようと思ったのに。
やっぱり、すれ違う運命なの?
マンションの前まで来ると
一人の男の人があたしに近づいてきた。
〈すいませーん
僕、記者なんですけどね?
ここに朝井えみ来たりするところ
見たりしてないですか?〉
きっと、これが現実
あたしのときはどうなるんだろう。
大学にも職場にも…来るの?
『知りません』
〈本当ですか?
事務所から金もらってるとか?〉
『だから!
知らないです!』
大きい声でそう言って
あたしはまっすぐ部屋に向かった。
冷静になろう。
和也を安心させないと…
忙しいのに。冷静になろう。