第2章 しゃけ大根に溶ける貴方の心 【鬼滅の刃 冨岡義勇】
それから数ヶ月が過ぎ、鬼殺隊は解散した。
世界から鬼が消え、人々は新しい時代へと歩み出していた。
満開の桜が舞い散る、義勇の屋敷の庭。
かつては殺風景だったその場所には、今、が植えた草花が色鮮やかに咲き誇っている。
「義勇さん、お茶が入りましたよ」
「……ああ、今行く」
縁側に座る義勇の隣に、が湯飲みを置いて腰を下ろした。
義勇の右袖は空のままだが、その顔立ちは驚くほど穏やかで、かつて「水柱」として背負っていた重圧は微塵も感じられない。
「……綺麗ですね、桜」
「そうだな。……あの日、お前と再会したのも、これくらい桜が咲いている頃だったか」
「ふふ、遊郭で、冨岡様が私を『買った』時ですね?」
「……その話は、もういい。恥ずかしい」
義勇は少しだけ顔を赤らめてそっぽを向いたが、すぐに左手を伸ばし、の手をしっかりと握った。
「……。刀を置いた俺には、もう何もない。誇れるものも、守るべき役職も」
「……そんなこと。義勇さんがそこにいてくださるだけで、私には十分です」
「……俺には、お前がいる。……これから先、お前とこうして桜を見たい。……俺の隣で、ずっと笑っていてくれ」
は義勇の肩に頭を預け、舞い散る花びらを見つめた。
「はい。……来年も、再来年も。ずっとお側にいます」
「……ああ。……愛している、」
「私も、愛しております。義勇さん」
春の風が二人を包み込み、桜の花びらが花吹雪のように降り注ぐ。
まるで、二人のこれからの未来を祝福するようにーー。