第11章 純白の境界線 【ヒロアカ 爆豪vs轟vs相澤】
深夜二時を回った頃。
ようやく熱の引いた身体を清めるべく、二人は人目を忍んで大浴場へと向かった。
「……あ?」
「……爆豪」
考えることは同じだった。
脱衣所で鉢合わせた二人の間には、もはや言葉にするのも忌々しいほどの気まずさが漂う。
どちらからともなく視線を逸らし、無言で洗い場に並び、無言で湯船に浸かった。
湯煙の向こう側、互いにのことで頭がいっぱいなのは、語らずともその硬い表情が物語っていた。
「……上がるぞ」
「ああ」
結局、あまり言葉も交わさないまま風呂を出た二人は、エレベーターの前で並んで箱が降りてくるのを待っていた。
深夜の静寂。
ふと、階段の方から衣擦れの音が響く。
「……ッ、誰だ」
「この時間に……」
二人が反射的に階段の方を覗き込むと、そこには大きなバスタオルを抱え、人目を忍ぶように階段を降りてくるの姿があった。
「あ……っ、爆豪くん、轟くん……!」
不意に二人と目が合い、が驚きに目を見開く。
昼間の「事故」を思い出し動揺した彼女は、あろうことか階段を踏み外した。
「わっ……!? きゃああ!」
「!」
「危ねぇ!!」
二人は同時に地を蹴った。
『好きな人限定でラッキースケベが発動する』呪いはもっとも最悪な形で牙を剥く。
「ぐっ……!」
先に滑り込んだのは轟だった。
彼は自らがクッションになるべく、を正面から受け止める。
その背後から腕を伸ばした爆豪の指先が、不可解な力に吸い寄せられた。
「んなっ……ッ!」
爆豪がを支えようと咄嗟に伸ばした手は、なぜか轟の風呂上がりで緩んでいたスウェットの腰元をガッシリと掴んでしまった。
爆豪の指は、あろうことか轟のズボンを下着ごと、引きずり下ろした。
「え……?」
「あ……」
それは、コンマ数秒の出来事だった。
爆豪が轟のズボンをずり下ろしたのと、が轟の上に落ちたのと、個性の呪いが不可能な確率を現実にしたのは。
「……ぁ、……んあッ!!?」
の短い、悲鳴にも似た喘ぎが響く。
重なり合った衝撃。
本来なら布地に守られているはずの場所。
だが今、爆豪のせいで轟の「それ」は完全に剥き出しになっていた。