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夜の秘め事【裏夢の短編集】【R18】

第10章 ※地獄の底で 君の名前を呼んだ【ヒロアカ 轟焦凍】


は、スマホを掲げた女子生徒たちの嘲笑の渦の中にいた。


「いい判断ね。これであなたは自由――あの方の汚点にならずに済むのだから。最後に、記念の動画をもう一本撮らせてもらうわね。今度は『別れの挨拶』かしら?」


「……っ、……ぁ……っ」


地面を見つめて震える。
心はすでに限界を超え、感情を失った人形のようだった。
そこへ、アスファルトを蹴る激しい足音が近づいてくる。


「――!!」


その声に、の肩がびくりと跳ねた。
顔を上げると、そこには息を切らし、氷炎の瞳をかつてないほど鋭く光らせた轟が立っていた。


「焦凍、……くん……」


「何の冗談だ、あのメッセージは。直接聞かせろ、!」


息を切らして駆けつけた轟の声が、震える彼女の鼓膜を叩く。
その瞳には、裏切られた怒りよりも、彼女の身を案じる切実な色が勝っていた。


「……っ、……そのままの意味、だよ。もう、……焦凍くんのことは、好きじゃなくなったの」


は地面を見つめたまま、枯れ果てた声で嘘を紡いだ。
彼と目を合わせれば、積み上げた虚飾がすべて決壊してしまうと分かっていたからだ。
だが、轟はその言葉を許さない。
彼は一歩踏み出し、彼女の細い肩を掴もうとした。


「嘘だ。お前のそんな顔、見たことはねぇ。何があった、保須のあの夜から――」


「あら、轟さんは、まだこの女を信じているの?」


割って入ったのは、勝利を確信した女子生徒の嘲笑だった。
彼女はスマホの画面を、躊躇いなく轟の目前に突きつける。


「口で言うより、これを見た方が早いわ。あなたがいない間、この女がどんな顔をして男たちを誘っていたか」


「……っ、やめて! 見ないで、焦凍くん!!」


悲鳴を上げたが、奪い取ろうと手を伸ばす。
しかし、周囲を囲んでいた数人の女子生徒たちが一斉に彼女の腕を掴んだ。


「放せ! に触るな!」


轟が氷の壁を作ろうとした瞬間、彼の視線は突きつけられた液晶画面に吸い寄せられ、凍りついた。




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