第7章 ※宿儺は伏黒の女を食い散らかしたい 【呪術廻戦 伏黒恵】
翌朝、食堂に集まった四人の間には、昨日までとは明らかに違う空気が漂っていた。
「……おはよ、虎杖。…顔色悪いわね」
「あ、ああ。釘崎……おはよう。ちょっと寝不足でさ」
虎杖は精一杯の笑顔を作ったが、その視線は自然とと伏黒に向く。
二人は何事もなかったように朝食を摂っていたが、遠慮や距離が一切消えていた。
「…………ふーん。あんたたち、更に随分と仲良くなったじゃない」
釘崎がジロリと二人を睨み、それから虎杖の痛々しい表情を見て、全てを察したように溜息をついた。
「……まあ、いいわ。あんたたちが幸せなら、あたしは何も言わないけど」
「……ああ。……悪いな、釘崎」
伏黒は短く答え、の肩にそっと手を置いた。
もまた、穏やかな微笑みを浮かべている。
最悪の夜を乗り越え、傷を埋めるようにして結ばれた二人。
それを守ろうとする仲間。
歪ではあっても、それは一つの「幸せ」の形にまとまりつつあった。
――だが。
「……っ!?」
不意に、がお腹を押さえて顔を歪めた。
ドクン、と心臓の奥で、異質な鼓動が跳ねる。
「? どうした、大丈夫か?」
「……うん。ちょっと、目眩がしただけ……」
心配そうに覗き込む伏黒の腕の中で、は必死に動悸を抑えた。
身体の奥底、五条が封印したはずの「宿儺の呪力」が、伏黒の愛撫を受けたことで、むしろ栄養を得たかのように妖しく蠢いている。
(……温かい……。でも、冷たい……)
封印の内側で、宿儺の残滓が嘲笑う。
それは、伏黒と愛し合えば愛し合うほど、その熱に反応して強固に根を張っていく呪いの種。
「いま一時を楽しむが良い、伏黒恵……貴様の女は、完全に俺のものとなったのだーー」
虎杖の喉の奥で呪いの王が低く、誰にも聞こえない声で愉悦を漏らしたのだったーー。