第6章 口溶けショコラ 【呪術廻戦 七海建人vs五条悟】
七海が差し出したのは、昼間にが彼に贈った手作りのチョコレートだった。
彼はその一粒を指で摘むと、拒む隙も与えず彼女の唇の間に押し込んだ。
「ん……ななみ、さん……っ」
舌の上でゆっくりと溶け出すカカオの甘みに、味わう余裕も与えられず七海の唇が重なった。
「……んんっ、ふ……」
深い、激しい口づけだった。
口の中で溶けかけのチョコが二人の熱でドロリと形を失い、舌が絡み合うたびに甘美な苦味が粘膜へと広がっていく。
鼻に抜けるチョコの香りと、七海の男らしい匂い。
それはまるで脳を麻痺させる媚薬のように、の思考を真っ白に塗り替えていった。
「……はぁ、っ、……あ、まい……です」
ようやく唇が離れたとき、の瞳は熱に浮かされたように潤んでいた。
七海は彼女の口角に付いたチョコを親指でそっとなぞり、それを自身の舌で舐めとる。
「ええ。あなたがくれたものですから、これ以上の栄養剤はありません」
七海はそう言うと逞しい胸板で、彼女の視界を塞ぐ。
「……あの、七海さん? まさか……」
「糖分は補給しましたね。……夜はまだ始まったばかりです」
「待って、っ、もう動けない、です……っ!」
「安心してください。……あなたが動く必要はありません。すべて、私に任せて」
七海は逃げようとする彼女の手首を優しく、けれど逃げられない力でヘッドに押し当てた。
先ほどよりもさらに色気を増したその瞳に、は背筋がゾクりと震えるのを感じた。
「……、もう一度、名前を呼んで」
「け、んと、さん……っ、ん、ああぁっ……!」
再び始まった重いピストンの衝撃に、の甘く溶けた脳は、ただ彼に従うことしかできなかったーー。
【七海建人編 完】