禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー
第12章 糖尿病の彼は彼女を甘やかしたい 【銀魂 坂田銀時】
禪院という地獄から、光に導かれて辿り着いたのは、見知らぬ路地裏だった。
冷たい土の感触と、鼻を突くゴミの臭い。
いのりの身体にはまだ直哉の指の跡が、あの男の「種」が、おぞましい熱を持って刻まれている。
「……はぁ、はぁっ……」
後ろ手に縛られた手首は赤く腫れ、乱れた服の裾からは、屈辱の証が音を立てて零れ落ちていた。
絶望感に目を閉じると、背後から巨大な影が忍び寄る。
「……わんっ!」
「っ!? ……ひっ、」
目の前に現れたのは、巨大な白い犬。
恐怖で声も出ないいのりの背後から、さらに低く、気だるげな男の声が重なった。
「おーおー、定春。そんな隅っこで何見つけた……って、おい」
振り返ろうとしたいのりの視界に、銀髪をかき上げた一人の男が映る。
坂田銀時は、彼女の有様を見た瞬間、死んだような魚の目を見開いた。
「……マジかよ。そりゃあ、ただの迷子にしちゃあ、随分と……景気よくやられてんな」
銀時は、彼女の股を伝う白い汚れと、縛り上げられた手首、そして何よりその絶望に染まった瞳を一瞥し、天を仰いだ。
男としての本能がわずかに疼くのを、彼は自らの頭を乱暴に掻くことで黙らせる。
「……ったく、どこのどいつか知らねーが、趣味が悪りぃ。おい、立てるか」
「……あ……」
銀時は自分の着物を脱ぐと、震える彼女の肩に乱暴ながらも優しく掛けた。
「いいか、まずはその……なんだ。全部、洗い流してこい。風呂場はそこだ」
連れてこられたのは、古びたスナックの二階。
銀時は彼女を風呂場へ押し込むと、階下へ駆け下りた。
幸い、新八と神楽はお妙のところへ遊びに行っていて留守だ。
「ババア! いるか! 早急に、それも至急、女物の着替え一式貸せ! 事情は後だ!」
お登勢に「何だい藪から棒に」と毒を吐かれつつも、銀時は必死に事情を説明した。
拾った女がボロボロで、しかも「そういう」状況にあること。
お登勢は顔色を変えると、奥から清潔な着替えを持ってきた。