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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第11章 彼は彼女の心を救いたい 【ONE PIECE マルコ】


「……嘘、でしょ……?」

いのりの手から、持っていたトレイが滑り落ち、甲板に乾いた音を立てた。
新聞の紙面に躍る【ポートガス・D・エース 公開処刑】の文字。
それが愛する家族の名であることを脳が拒絶し、視界が歪む。

「……ッ、いのり!!」

崩れ落ちる彼女の体を、マルコが咄嗟に抱きとめた。

「マルコ、さん……これ、何……? エースさんが……死ぬの……? どうして、嘘だって言ってください……っ!!」

「……落ち着けよい。まだ、決まったわけじゃねェ……ッ」

マルコの声も、いつになく震えていた。
サッチが殺され、エースが捕まった。
自分たちが守りたかった平穏な日常が、音を立てて崩壊していく。

「嫌……っ、嫌だよ!! サッチさんもいなくなって、エースさんまで……!! 私のせいで……私が、あの日あの人を止められなかったから……っ!!」

「あんたのせいじゃねェ!! 自分を責めるのはやめろよい!!」

泣き叫ぶいのりを、マルコは押し潰すほどの力で抱きしめた。
彼女の背中越しに見える船内は、かつてないほどに暗く、重い。
仲間たちの怒号や、押し殺した啜り泣きが、冷たい海風に乗って響いていた。



「……オヤジ。どうするんだよい」

マルコが視線を上げると、そこには新聞を握りつぶし、静かな怒りを全身から発する白ひげが立っていた。

「グラララ……決まっている。息子を助けに行かねェ親が、どこにいる……」

「………っ。オヤジ、俺たちも、準備を始めるよい」

マルコはそう言いながら、胸の奥で複雑な葛藤に苛まれていた。
エースを助けたい、それは本心だ。
だが、戦争になれば、ようやく笑顔を取り戻したこの少女を、再び地獄の渦中に放り込むことになる。




「マルコ、さん……っ、私も、私も行きます……! エースさんを助けたい……!」

「……ダメだ。あんたは、この船を降りるんだよい」

「……え……?」

マルコの言葉に、いのりは涙に濡れた顔を上げた。
マルコは彼女の頬を両手で挟み、自分を言い聞かせるように、真っ直ぐに彼女を見つめた。

「これから始まるのは、世界を相手にした戦争だ。俺も、オヤジも、全員が死ぬかもしれねェ。……あんただけは、どこか安全な場所に……」

「そんなの、嫌……っ!!」


いのりはマルコの腕を強く掴み返した。


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