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禪院家の落ちこぼれシリーズ 【R18】クロスオーバー

第8章 口下手な彼は彼女と暮らしたい 【鬼滅の刃 冨岡義勇】


月明かりが竹林を青白く照らす夜。
任務を終えた冨岡義勇は、鼻を突く異様な臭いに足を止めた。
血の匂いではない。
それは、もっと生物的な、ひどく「生臭い」澱んだ空気。

「……何だ、これは」

茂みをかき分けた先にいたのは、服を無残に肌蹴させ、意識を失っている一人の女だった。
乱れた股下からは、彼女を蹂躙した証拠が痛々しく滴っている。
そのあまりに惨めな姿に、義勇は微かに眉を寄せた。

「……」

彼は何も言わず、羽織を脱いで彼女の体を包むと、無造作に抱え上げ、一気に駆け出した。




「冨岡さん!! いきなり上がり込んできて何事ですか、説明なさい!」

深夜の蝶屋敷に、胡蝶しのぶの鋭い声が響いた。
義勇は抱えてきた「荷物」を空いている診察台に横たえる。

「……道に、落ちていた」
「落ちていた? 人間がですか?」

しのぶは呆れたように溜息をついたが、台の上のいのりを一目見て、その瞳に険しい色が混じった。

「これは……酷い。冨岡さん、この方に何があったか見ていましたか?」
「いや。見つけた時にはその状態だった。呼吸が乱れている。……あとは頼む」

義勇はそう短く言い残すと、流れるような動作で踵を返した。

「ちょ、ちょっと待ちなさい! どこへ行くんですか!」
「……報告に戻る。彼女のことは任せた」
「待てと言っているでしょう! せめて発見場所の状況や、心当たりがあるのかくらい話し……!」

パタン、と無情にも扉が閉まる。

「…………あの唐変木がッ」

しのぶの額に青筋が浮かぶ。

「押し付けるだけ押し付けて、自分はさっさと帰る……! だからみんなに嫌われるんですよ!」

吐き捨てたしのぶだったが、横たわるいのりの青白い顔、そして絶望を煮詰めたようなその身なりを見て、表情を慈悲のものへと変えた。

「……ひどい傷……アオイ! お湯と着替えの準備を!」


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