第7章 最期は、泡沫
12月24日。
その日はあっという間に来た。
悟さんが一番大事な戦いをする日だって聞いている。
「葉月も来て。
僕のかっこいいところ見てよ。
本当はあんな血生臭いもん見せたくないけど、僕の奥さんになったらそういうのも、日常茶飯事になると思うからさ」
心臓が嫌な音を立てたけど、しっかり頷いた。
手を引かれて、ただついていった。
その日が私たちの最期になるとも知らず__
怖いおじいちゃんと綺麗なお姉さんと一緒に階段を降りていく悟さん。
その先には、私とあまり変わらなそうな少年少女がいた。
悟さんを纏う空気がとてもピリついていて、肌を刺す。
真希ちゃんだ。
火傷の跡や傷跡、小さい頃とは随分違うけど、すぐにわかった。
直哉くんの命を奪った子。
でもきっと、真希ちゃんなりの正義があったんだろう。
私は何も知らない。
ひとりの男の子の言葉で、空気は柔らかくなった。
みんなが悟さんの背中を叩き、喝を入れているようで、何かを託しているようだった。
「葉月はこれね」
痛いくらい抱き締められて、舌を絡めるようなキス。
教育によくないよ、五条先生…。
「ちゃんと生かしてあげるからね。
絶対勝ってくる――僕、最強だから。
………愛してるよ」
悟さんはその日――私を残して逝った。