第1章 全ての始まり
「アキ__」
愛しい名を呼ぶ私の声は、誰にも拾われることなく、喉を刺す冷えた空気に攫われた。
否――目の前で立ち尽くしたアキが、遠くでそれを飲み込んだ。
聞こえているが、脳がその情報を遮断している。
早川アキ――彼の家は、家族ごと一瞬にして消え去ったのだ。
肌を突き刺す寒々とした風が吹き荒れる中、アキが凍えてしまわないように抱き締めた。
聞こえるのは、雪を纏った風と二つの心音。
アキの家族になる――そう決めたのは、私自身だった。
その言葉に縛られて、動けなくて…今も立ち止まったまま、雪は解けない。
凍てつくこの場所に、この想いを閉じ込めて行けたら__。
雪が頬を殴る、冷たくて寂しい…この場所に過去を埋めて。
―――銃の悪魔は5分弱で120万の灯火を連れ去った。
苦しくて、寒くて…凍りそうな心を抱えて、冷焔のアキを追いかけた。