第19章 いつか、また
任務と授業と訓練。
それをただひたすらに繰り返していれば、一週間なんてあっという間で。
「恵くん、次はどの映画にする?」
秋祭り当日。
私は集合時間までの暇つぶしにと、恵くんの部屋で数ヶ月ぶりに二人並んで映画を観ていた。
「集合まで、もう一時間半切ってんぞ」
「えっ!?あ、ほんとだ!」
恵くんに言われて壁掛けの時計に目をやると、皆との約束の時間までちょうど一時間半を切ったところだった。
この残り時間では、さすがに次の映画を一本見切ることはできない。
「じゃあ、そろそろ用意しよっか」
そう言って腰掛けていたベッドの縁から立ち上がろうとした、その時。
ぐい、と背後から力強く腕を掴まれ、私の身体はベッドの上───恵くんの腕の中へと、簡単に縫い戻されてしまった。
「……あと一時間くらい、時間あんだろ」
背後からそっと腕を回して抱きしめられ、耳元で低く呟かれると、途端に自分の顔に熱が集まっていくのが分かった。
さっきまではお行儀よく映画を観ていたから意識なんてしていなかったのに。
後ろから肩口に額が預けられて、身じろぎするたびに恵くんの髪が私の首筋に触れる。
それが酷くくすぐったくて、どうしようもないくらい一瞬で、恵くんが作り出す甘い雰囲気に呑まれてしまう。
「………ナマエ、こっち向け」
「はっ、はい……っ」
私の身体に巻きついていた腕の力が緩まり、私は促されるまま上半身を捻って恵くんに振り返った。
いつも通り、不機嫌そうなへの字口なのに、瞳だけは、私を求めて揺れている気がしてしまう。
それがどうしようもなく嬉しくて、愛しくて。
「───……」
引き合うように唇を重ねると、どちらからともなく舌が絡まる。
カーテンが閉められた薄暗い部屋の中に、ちゅ、と淫らな水音が小さく響きはじめた。
(……はやく止めなきゃ、)
きっと止まらなくなる。
頭のどこかでそう分かっていても、恵くんに求められているこの状況から、私が自力で抜け出す術なんてなかった。