第18章 呪術甲子園
「なんでまた急に」
「だって君たち、高校生一年目だってのに夏らしいこと全然してないじゃん」
恵くんの問いかけに、五条さんはケロッとした表情で肩を竦めて答える。
夏、……約二ヶ月前。
虎杖くんが死んでしまったと信じ込まされていた私たちには、夏らしいことを楽しむ余裕なんて、1ミリもなかった。
「……まあ、それどころじゃなかったんで」
「えっ、伏黒まだ怒ってる!?ごめんって」
私の内心を代弁するように、恵くんが少し苦い顔でボソリと呟く。
すると虎杖くんがギョッと目を見開き、慌てて両手を合わせて全力で恵くんに謝罪を始めてしまった。
「ナマエは?行かない?」
そんな二人を横目に、今度は五条さんから私へとまっすぐ問いが投げかけられる。
秋祭り。……お祭り。
まだ一度も体験したことのない行事に、私の心は既にほんの少しだけ浮き立っている。
「もちろん、行く!」
「さっすがナマエ!!そう来なくっちゃ!」
弾んだ大きな声で返事をした私の頭を、五条さんは大きな手で ぐしゃぐしゃに撫で回してくれた。
皆で行く初めてのお祭り。
どんな催しがあるのか、私にはまだあまりピンと来ていなかったけれど───みんなが居れば、きっとどんな場所だって、世界で一番楽しくて特別な場所になるだろう。
そんな思いを胸に、私たちは夕食のため、五人で食堂の中へと進んだ。