第15章 成就の証※
室内が静まり返った途端、野薔薇ちゃんの鋭い視線がチリチリと肌に刺さって気まずさが募る。
「ナマエ……アンタねぇ」
「ハイ……スミマセン」
お説教を覚悟して、ベッドの上で身体を窄めて俯く。
だけど、頭上に落ちてきたのは固いゲンコツではなく、驚くほど優しく髪を撫でる手のひらだった。
「今後、一人で抱え込むのはナシよ。……私が居るんだから」
「……!!」
もっと酷く叱られると思っていたのに。
かけられた言葉は意外なほど情に満ちていて、心の奥底に残っていた後悔の残滓が溶かされていく。
堪らず顔を上げて両腕を広げると、野薔薇ちゃんは「仕方ないわね」と苦笑しながら、私の腕の中に収まってくれた。
「ところで、その身体で明後日の交流会、出られるわけ?」
「………たぶん」
「命令よ、治しなさい」
「うぅ……」
むぎゅ、と両手で頬を潰され、されるがままに翻弄されていると、部屋の扉が開く音と共に水を持った恵くんが戻ってきた。
「………ナマエ、水」
「あ……ありがとう」
「ん」
野薔薇ちゃんに顔を固定されたまま、予めキャップが外されたペットボトルを受け取る。
すると、恵くんは昨日の情欲をほんの少しだけ混ぜ込んだ眼差しで私を見つめ、ゆっくりと髪を撫でてくれた。
そのせいで、私の脳内は昨夜の出来事をフラッシュバックさせて、鎮まったはずの身体が再びじわりと熱を帯びていく。
「ちょっと。私も居るんだから、その甘ったるい空気出すの止めてくれる?気分悪くなるんだけど」
「………じゃあ出てけよ」
「口答えすんな容疑者F!!!! アンタの処遇はまだ検討中よ!!」
「……はぁ、勝手にしろ」
そんな二人の、いつも通りのやり取りを横目に、私は乾ききった喉に水を流し込んだ。
冷たい液体が喉を潤して、ぶり返しそうになった熱は少しずつ鎮まっていった。