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淫夢売ります

第13章   ・・・後日談


私は息を呑む。処置なし、ということは、涼はずっとこのままなのだろうか?
小さい頃から手がかからず、教員になる、という夢をかなえて、順調に働いていたとばかり思っていたのに。勤めている学校の教頭に勤務時間が長いのではないのか、と詰め寄ったが、皆と同じくらいだと簡単に言われてしまった。
証拠もない以上、これ以上食い下がることもできない。

そして、食い下がったとしても涼が目覚めるわけでもない。

ただ・・・眠っている涼の顔が穏やかで幸せそうなのだけが救いだろうか。
なにか、良い夢を見ているのかも知れない。

ふと、枕元にあるカードに気づいた。縦長の、まるで西洋風の栞のような、タロットカードのようなカードだった。
中央にうっとりと恍惚の表情を浮かべる男性が立っている。その周囲を3人の妖精が飛び回っている。まるで3人の妖精が中央の男性を祝福しているようだ。見覚えがないカードだった。

「このカードは?」
思わず尋ねると、神楽先生はニコリとわらって答えてくれた。
「ああ、加賀美さんが倒れられたときに持っていらしたようです。お守り代わりかと思い、枕元にこうして貼っておいているんです。
 先日いらしたときはまだ集中治療室でしたからね。でも、その時も枕元にじつはおいてあったんですよ。」

そうなのか・・・お守りみたいなものなのだろうか?心なしか、中央の男性が涼に似ている気がしないでもない。

「さあ、そろそろ面会時間は終わりです。お帰りいただければと思います。」
先生に促されて、私は病室を去る。
暗い病室に涼を残していくのは心残りだが、仕方がない。

今日、何度目か分からないため息をついて、私は重い足を引きずるように病院をあとにした。
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