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淫夢売ります

第69章   抱擁


☆☆☆
「うわぁっ!!!」

飛び起きる、とはこういう事だ、と言っていいほどの勢いで私はベッドの上でガバリと体を起こした。一瞬自分がどこにいるかわからない。額には汗がびっしょりで、背中をつつっと汗が伝うのも分かった。

息が上がっており、心臓が早鐘のように跳ねていた。

そして、自らの股間のあたりが恥ずかしいほどに冷たくなっているのを同時に感じていた。

「い・・・今の・・・?」

意識して何度かゆっくり呼吸をして、やっと落ち着いてきた。

夢・・・なのか?

夢にしてはものすごくリアルというか・・・現実と全く区別がつかなかった。

教室に漂う淫らな息遣い
保健室に立ち込める交わりの熱気と匂い
そして、咲希のキスの生々しい感触

思い出すだけで、身体が芯から震えるようだった。
唇に触れると、まださっきの感触が残っているような気すらする。

ここでようやく私は思い出した。
深夜の寝室。妻は子どもたちと一緒に寝るのが常となっており、夫婦の寝室は実質私一人の寝室となっている。

枕の下をまさぐると、一枚のカードに指が当たった。

『眠る男に口づけをする美しい妖精』のカード・・・。
夢占モルフェで購入したこれ、のせいなのか?

暗闇の中、カードの図柄に目を凝らす。
無邪気に目を閉じて男にキスをしている妖精の顔はなんとなく咲希のそれに似ているような気がした。

「魔法・・・?」

夢の中で咲希はそう言っていた。
魔法、一体なんだろう?わからない。

わからないまま、とにかく着替えをしなければと思い、重い体を引きずるようにして私は浴室に向かった。

この時の私は、まだ、彼女の言う『魔法』の、本当の恐ろしさを知らなかったのである。
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