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淫夢売ります

第69章   抱擁


ここは・・・?

気がつくと、私は暗い場所にいた。どこか廊下のようなところ。左手には窓が続いており、そこから青々とした冴えた月明かりが射し込み、床に四角い影をなしていた。右手には掲示板のような壁。先を見ると一定距離毎に横開きの扉がある。

壁に見慣れた奨学金の申し込みに関するポスターを見つけて、やっと得心した。

ああ・・・学校か・・・

そこは鳳学園の3階のフロア、二年生の教室が立ち並ぶエリアだった。まだ、晩夏の面影が残るものの、夜の学校は少しひんやりとしている感じがした。

なんで私はここにいる?

一瞬、残業をして帰りが遅くなったのだろうかと思った。左手首を見るが、そこにいつもあるはずの電波式の腕時計は見当たらなかった。翻って自身を見てみると、半袖のポロシャツに下はチノパンという、いわゆるオフの時の服装をしている。

つまり、自分は一旦家に帰って、もしくは休日の夜に学校に来ている、ということになる。ここに来た経緯を全く覚えておらず、頭に手をやる。

とにかく、家に帰ろう。

どうしてここにいるのか、全くわからないが、学校のセキュリティというものがある。教員と言えども、用もないのに夜中に校舎に残っているのはあまり褒められたものではない。私は、踵を返すと、玄関に向かう昇降口に歩みを進めた。

・・・あれは?

後ろを振り向くと、少し先の教室の扉が開いており、そこだけ灯りが漏れ出している。正確な時刻がわからないが、様子からしておそらく22時は回っているはずだ。こんな時間に教室に明かりがついているというのは少し考え難い。

灯りの消し忘れだろうかとも思い、近づいてみると、中からカタカタと物音がする。

やっぱり誰かいる?

更に近づくと、何か息遣いのような、密やかな気配がする。その気配は廊下に立ち込める夜の気配と混ざりあい、何か淫靡なものを感じさせた。

「・・・ん・・・くん・・・あっ・・・はんんっ」

息遣いに混ざる声は女性のそれだった。熱く湿った吐息、ギシギシと何かが擦り合わされるような物音、その声は誰かの名を呼んでいるようだった。

いったい・・・何が・・・
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