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淫夢売ります

第61章   ゲリエール


「うちの発注になにか問題がありましたか?」
「契約で動いているのに、こういった一方的なことでは困ります」
「そちらの信用もあるんじゃないんですか?」

10分ほどだろうか?交渉というか、もしかしたら佳菜江さんからは『脅し』にすら見えたかもしれない対話を繰り広げ、結局は「優里さんにはやっぱり敵いませんね・・・」などと言われつつ、先方に予定数量を早急に回してもらうことに成功した。

「お疲れ様です優里さん・・・さすがですね」
至って冷静に佳菜江さんが言う。
「全く、ちょっと甘い顔するとつけあがるんだから・・・」

そう、ビジネスの世界で、妥協や弱みを見せるのは禁物だ。特に卸はこっちが女だと見るとふっかけてきたり、今みたいに平気で他の取引先より後回しにしてきたりする。勢いと理詰めと、最後は契約違反による違約金をちらつかせて捩じ伏せる。そうでもしなければこちらが一方的に損害を被る羽目になる。そんな事態は絶対に避けなければならない。

うちの旦那にも、これくらいの甲斐性があればねえ・・・
ちなみに、旦那はある会社の営業職だ。会社の規模こそ大きいが夫自身は末席もいいところで、出世の見通しもない。そもそもが押しが弱く、あれでは営業やっていても顧客に足元を見られるのではないかとも思う。

まあ、いいわ。一定の金さえ入れてくれれば・・・佳純と淳太は私がちゃんと守っていくから・・・。

そんな事を考えながら、手元のカードをくるくると回していた。そんな私の様子に気づいたのか佳菜江さんが、「それなんですか?」と聞いてくる。

「ああ、これね・・・魔法のカードってところかしら」
「新商品ですか?」

その言葉に私は笑ってしまう。
リアリストの佳菜江さんらしい発想だった。

モルフェで買ったカード。一見するとタロット・カードのようにも見える。
細長い形のカードで、裏は幾何学模様、表には『縛り上げられ男女に責められる仮面の女性』とでもいうのだろうか、そんな図案が描かれている。

この図柄を選んだのは自身である。あの店の店主ユメノが最後に言った「これがあなたの欲望です」という台詞を本気にした訳ではないが、ちょっとこの表面を佳菜江さんに見せるのは抵抗があった。
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