第49章 軋む檻
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その後、結局会社には行ったものの、一日中、ぼんやりして仕事にならなかった。いくら集中しようとしても、すぐに意識があの夢へと漂っていってしまいそうになるのだ。
まるで熱に浮かされた夢遊病者のようだった。
それは仕事から帰ってきてからも同じだった。
あの夢・・・
思い出すまいと思っても、氷川に抱きしめられたときの圧倒的な幸福感を何度も何度も僕は反芻してしまう。それほど、強烈な体験だった。
何もかも忘れてただただ満たされる感じだけがあった。
いい匂いに包まれて、柔らかい体に抱かれて・・・。
仕事をしてても、食事をしてても、風呂に入っていても、人と話しているときでさえ、気を抜くと、『また氷川に・・・』と考えてしまっている自分がいる。
しかし、それと同時に、『あれを体験し続けてはいけない』『はまってはいけない』と必死に淫夢に落ちようとするのを止めようとしている自分も感じるのだ。
怖い・・・。そう、恐怖だ。
自分がとんでもなく、変わってしまうような。
引き返せなくなるような、そんな恐怖。
夢の中、自分はなんと言っていた?
淫らに濡れたアナルを自ら晒して、媚びるように、蕩けた顔で
『犯してください』
と・・・あんな・・・あんなことを・・・。
「犯してほしいなんて、そんなこと・・・」
あるわけない・・・