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淫夢売ります

第2章   望む夢


「では、始めましょう」

そう言って、ユメノは一組のカードを黒いクロスの机の上に広げた。まるでマジシャンのような手さばきだ。
ざっと見た所、トランプと同じくらいの枚数がある。裏面には月と星、円やひし形などが複雑に組み合わさったような模様が描かれている。
そして、表には西洋のタロットカードのような図版が描かれているが、内容は、男女が様々に絡み合ったり、中には獣と抱き合っていたり、複数の人間が折り重なっていたり、などなど、男性経験があまりない私であっても、淫靡な意味が含まれているとひと目でわかるような図が描かれている。

「この中で、直感で最も惹かれるカードを選んで下さい。それがあなたの欲望です。ここはとても大事なところです。自分に嘘をつかず、」

一旦ユメノは言葉を切る。私の目をじっと見つめる。
ユメノの眼を初めてこのときまじまじ見たが、まるで夜の闇がそのまま目に落ちているような不思議な深みがある。見られているだけでドキドキしてしまう。

「もっとも、惹かれるものを選んで下さい」

少し震える指で私はカードに触れる。
何の変哲もないカードなのだが、触れるだけで、ビリッと電気が走ってくるような気がした。

私が惹かれる・・・。
私が・・・欲しい・・・夢・・・。

フラフラとさまよっていた指が、ピタリと一枚のカードの上で止まる。
ごくり・・・つばを飲み込む。
これ・・・。

「そちらですね?良いと思います。奥様に最もお似合いですよ」

ユメノが長い指でそのカードを取り上げ、私に差し出す。私は震える手でそれを受け取った。

「夢を見たいとき、そのカードを枕の下に敷いて眠って下さい。もしくは、身に着けても構いません。」
ユメノが笑った。

「それでは・・・良い夢を」
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