第35章 蕾の味
茉莉とはこの春出会った。図書館で調べ物をしている時、彼女と同じ本を取ろうとした、というのがきっかけだった。映画かよ、と思うほどベタな出会い方。
まあ、要は学部と学年が同じで、同じ先生のレポートを書こうとしていたので、似たような本を探していた、というだけなのだが。
神谷茉莉、というのが彼女の名前で、一浪しているので僕より年は一つ上だった。
肩までのストレートの髪、丸い大きめのメガネ、化粧っ気はないけど、肌はとてもキレイだた。柔らかそうな白いニットの身体にピッタリした服もよく似合っていて、少しふくよかなところは僕の好みど真ん中だった。
この日、本をシェアして一緒にレポートを仕上げたのがきっかけで、僕らはよく一緒に勉強するようになった。一緒にいると、彼女の優しさや誠実さ、温かさが伝わってくる。彼女が何かを考えている時の、ペンを口に当てる仕草が僕は好きだった。
夏になる前に告白をして、付き合い始めた。
ただ、別に付き合ったからといって生活が大きく変わるわけではなく、これまで通り、一緒にご飯を食べたり、勉強したりする、という感じだった。
本当はエッチなことにも興味があったし、正直言って彼女の柔らかそうな身体に触れたい、抱きしめたいという気持ちがものすごくあったが、なかなかそう出来ずにいた。
僕らは互いに奥手だったのだ。
「みんな、どうやってエッチまで持ち込んでるんだろう?」
ため息混じりに言うと、友人の金橋は「襲っちゃえば」とこともなげに言った。
んなわけにいくか・・・。
エッチもしたいが、彼女自身がすごく好きなんだ。
もし、変に手を出して軽蔑されたり・・・ましてや嫌われたら・・・。
「流れとか、勢いじゃね?」
金橋のアドバイスはどこまでも役に立たなかった。
「そうだ、そういやさ、モルフェって知ってる?夢占モルフェ」
はい?知らんな・・・そんなん。何だそりゃ。
「サークルの先輩がさ、噂してたんだけど、なんかエッチな夢が買えるらしいよ?」
「お前のサークルって・・・あのホラーだか、ミステリーだかの?」
「超常現象研究会な?お前も入らない?」
入らねーよそんな怪しいとこ。