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淫夢売ります

第33章   セイレーン


☆☆☆
はっ・・・

急に目を開いた。見慣れない天井。一瞬自分がどこにいるかわからなくなる。
ああ、そうだ、旅館だ。温泉宿・・・。

起き上がり隣を見ると、佳奈が額に汗をにじませていた。頬に朱が差し、小さくあえぐように息をしている。

やはり、夢の中の佳奈と現実の佳奈がつながっている・・・。だとしたらどこかに・・・!

佳奈の枕の下に手を差し入れると『それ』の手応えがある。取り出すと、それはカードだった。モルフェのカード。

『人魚』に見える。人魚が深海に向かって泳いでいる様子を表しているかのようだ。

素早く自分のカードを取り出すと二枚を重ねて、

「帰ってこい!佳奈!」

一気にカードを引き裂いた。

引き裂いた直後、夢の中で最後に聞いた断末魔の叫びのような声が、聞こえたような気がした。

☆☆☆
「佳奈!佳奈!・・・」
佳奈の体を揺する。間に合ったのだろうか?
なかなか起きない。起きてこない。

間に合わなかった?

青海の言葉を思い出し、ゾッとする。

「佳奈!!」

恐怖心も相まって、ひときわ強く揺する。すると、ううんと佳奈が小さくうめき声を上げ、薄っすらと目を開いた。

良かった・・・。脱力し、僕は仰向けに倒れ込んだ。

「真人・・・!」
佳奈がそんな僕に覆いかぶさるように抱きついてきた。ぎゅっと抱きつき、嗚咽する。
震える背中をぽんぽんと叩き、僕は確信をした。

確かに、あの夢の中の佳奈は、ここにいる佳奈自身だったのだ。

僕らはあの海底の城から、帰ってきたのだ。
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