• テキストサイズ

天狐あやかし秘譚

第83章 多情多恨(たじょうたこん)


「お・・・おい!お、俺を殺したら・・・殺したら・・・!」
「女、となぜ知っている。お前は我と共に『死返玉』を探せと言われた。我を視界に収め続けろと言われた。それしか知らぬと言っていた・・・なのに、なぜ、我らが『女』とこれを交換しようとしていることを、知っているのだ?」
「そ・・・そりゃ、おめえ、聞いてたんだよ、聞いてた。カダマシってやつに、『奴らはこっちが女を人質にしているから手出しはできねえ』って・・・だからだよ」

一瞬ダリの言葉に怯んだ京本だったが、すぐに体勢を立て直す。少しのけぞるように槍の穂先を躱しつつ、弁明をしてみせた。

「へへ・・・いいのかい?俺の目を通して、あちらさんは状況把握してるらしいぜ?こんなことをして、カダマシってのが、お前さんの可愛い女を殺しちゃったりするかもしれないぜ?」
怜悧な瞳、氷のような冷たい視線を京本によこし、ダリは小さく嘆息した。その目は京本をして怖気を走らせるに十分な気迫があった。
「やはり、まだるっこしいことは・・・好かんな」
京本が目を見張るのと、ダリが素早く槍を横薙ぎにするのは同時だった。

「何を・・・!?」

ヒュン!と風切り音が響く。
その音が京本の耳に届くより先に、ダリの持つ古槍の穂先が、京本の喉笛を切り裂いた。
/ 1039ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp