第65章 奇想天外(きそうてんがい)
え?二つもあるなんて聞いてないよ・・・。
「もうひとつって・・・?」
法外なものだと困ってしまう。
薄い月明かりの下、貧乏神が不敵に笑う。
『我の望み・・・それは・・・』
「それは?」
ゴクリとつばを飲み、身構える。
でも、彼が言い出したのは実に意外な『要望』だった。
『野球観戦じゃ』
一瞬、意味がわからず、私の目が点になりそうになる。その沈黙を、自分の言葉が理解できないのだと勘違いしたのか、貧乏神は噛んで含めるように言ってきた。
『だからな、儂は野球で推しが勝つところを見たいんじゃって・・・。
野球観戦、わかるか?』
・・・
沈黙、
のち、ぱちくり、ぱちくりと、瞬きを二回。
仰ることが、よくわかりません。
私は、貧乏神の突飛な要望に戸惑いを隠すことができなかった。