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天狐あやかし秘譚

第65章 奇想天外(きそうてんがい)


☆☆☆
次の日、清香ちゃんと芝三郎をダリに見てもらって、私は単身、陰陽寮に出向いた。
今回の貧乏神騒動を収めるために、何かできることはないかを探すためである。

まず、私は陰陽寮暦部門を訪れて、貧乏神について調べることにした。
暦部門とは、陰陽寮の中にある『アーカイブ』の管理部門のようなところだ。呪的な現象に関する様々な文献を所蔵するとともに、日本で起こったさまざまな怪しい事態の記録とその保管などを司っている、と聞いていた。実は、私自身、同じ建物にありながらも暦部門に足を踏み入れるのは、就職当初、瀬良にざっと陰陽寮の中を案内されたとき以来初めてだったりする。

暦部門は陰陽寮の地下に位置しており、その様相はまさに多くの文献を所蔵する書庫のような感じのところであった。前に来たときもそうだったが、今日もしんとしている。人がいないのではないかと思うほどだ。

そっと引き戸を開ける。
「すいませーん・・・」
入ると、Lの字になったカウンターがあり、その短い方に一人の女性が座っていた。年齢はおそらく30そこそこ。三つ編みのおさげで丸メガネをかけている。前髪をバッチリ上げているので額がつるっと出ている。見た目は田舎の女子高生のようだ。確か、名前は・・・なんだったっけな・・・。

「あら陰陽部門の浦原さん・・・今日は、どういった御用向きで?」

たった一回しか会っていないのに、向こうは私の名前も所属も完璧だった。さすが、資料を扱う部門の陰陽師・・・。ええと、あなたの名前は・・・?
ちらっと胸のバッヂを見ると『高森』と書いてある。ああ、そうだ、高森さんだった。

「こんにちわ、高森さん。えっと、今日は、貧乏神について調べたくて来たんですけど・・・」
「お調べものですね?では、そちらの申込用紙にIDと所属、お名前、それから検索内容を簡記願います」

なんだか、図書館のリファレンスみたいだ。本好きの私としてはこっちのほうが仕事として好みである。書類を書き上げて提出すると、高森さんは『10分ほどお時間を頂戴します』と言って端末を叩き始めた。

ボケっと待っているのも何なので、待ち時間の間に、2つ目の用務先であるところの、占部衆のところに行くことにした。
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