第61章 辺幅修飾(へんぷくしゅうしょく)
「みなさま、本日は同窓会に集っていただきありがとうございます。本日の発起人のひとり、3年E組の霧島遼子です」
「同じく、3年A組の山中慎一です」
「皆様、実に25年ぶりの再会かと思います。
変わっている人、余り変わっていない人、様々ですよね。
大分旧交を温められたのではないでしょうか?」
霧島が皆を見回す。
「そう、実は、今日のこの会が実現したのは、
この霧島遼子さんの発案なんですよ」
山中が霧島を見ると、彼女は照れたように少し顔をうつむかせるような仕草をする。
「やだ!それは内緒って言ったでしょ!
ま、その・・・言いだしたのは私ですが、実際にここまでの準備等は、山中くんを初め、四人の方のお手伝いあってこそでした」
霧島が自分と山中以外の四人の発起人の名を挙げる。名前を呼ばれた者が次々に舞台に上がっていく。最後の一人の名が呼ばれた時、会場から拍手が沸き起こった。
「さあ、まだまだ時間はあります。思いっきり歓談を・・・と言いたいところですが、ここでひとつ、余興を行いたいと思います。
ビンゴゲームです!」
わーっと、再び盛大に拍手が鳴り響いた。
ビンゴカードが配られ、舞台上で霧島がビンゴマシーンを回し始める。出てきた数を山中や他の発起人がホワイトボードに書き出していった。
「次は・・・3です!・・・どうですか?そろそろリーチが出ますか?」
ビンゴが進んでいく。
この状況では、島本は人の輪から離れることがない。近づいていって誰にも見られずに足元をチョロチョロしている管狐を捕獲するのはなかなかに難しい。
仕方がない。目には目を・・・だ。
こちらも、式神を使うとしよう。
プライベートとは言え、やはり準備はしておくものですね。
そんな風に思いながら、私は持ってきたアタッシュケースの中から式神を召喚するための呪符を取り出す。細長い和紙に『ドーマン』と呼ばれる格子状の模様と、『識神荒御魂』と墨字で書かれている。こっそりと後ろ手にそれを持ち、呪を唱える。
『陰陽五行 魔王天王 大自在 荒魂勧請』
符が震えているのを感じる。見えてはいないが、徐々にその形状を薄緑色にぼんやりと光るヘビのそれに変えていることだろう。このヘビが、私の使う式神『野づ霊』(のづち)だ。