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天狐あやかし秘譚

第49章 有備無患(ゆうびむかん)


そして、この『疱瘡神』を早く探し出さなければ、現状閉鎖されている中類村の住人400人は全滅してしまうことになる。時間制限まであるのだ。

「ダリ・・・なんとか、してくれる・・・よね?」
ぽつり、と呟いた。

その途端・・・。

「呼んだか」

ひやあ!

真後ろからダリの声がする。振り返ると、いつの間に入ってきたのか、狐神モードのダリがふわりと部屋に降り立つところだった。雰囲気的に、まともに玄関や扉を通ったわけではないとわかる。

び・・・びっくりするじゃない!

ふふ、とダリが笑みを浮かべる。
「我がおらず、その身を持て余していたのではないか?」

その言葉がやや図星だったせいか、私はちょっと『かちん』と来てしまう。
何さ!勝手にいなくなったクセに!

「べ・・・別に!そんなことないし!これから、ご飯食べようと思ってたんだし!」

ぷいっとそっぽを向いて、憎まれ口を叩いてしまう。私だって、いつだって優しいわけじゃないんだ!
乙女を放置したこと、ちょっとくらい反省すればいいんだわ。

「ほう」
ダリがすいっと目を細める。

多分、土御門に煽られ、二人の夫婦漫才にアテられ、更に言えば高級旅館の雰囲気に舞い上がっていたせいもあるのだと思う。
若干、私はふわふわしていたのだろう。

ついつい、甘えたの気持ちが強く出て、こんなちょっと拗ねた態度を見せてしまった。
本当に、他意はまったくなく、軽い気持ち、と言ったらおかしいが、そんな感じだったのだ。

だけど、これが後ほど、恐ろしいことを引き起こす引き金になろうとは、このときの私は知る由もなかったのである・・・。
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