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天狐あやかし秘譚

第47章 病入膏肓(びょうにゅうこうこう)


☆☆☆
案内された民宿は外見は通常の民家である。その一部を民宿としているという感じで、良くも悪くも通常の民宿の質を出ないものだった。この地域に観光に来る人はほとんどいないが、たまに周辺の山に登ったり、川で釣りを楽しんだりする人がいる、ということで、ほそぼそと民宿経営も成り立っているということだった。

「よう来なすった」

60代くらいのおばちゃん女将が出迎えてくれる。食事も用意してくれていたようで、地元で取れたという魚や山菜などを味わうことができた。土御門が『酒を・・・』と言ったのを瀬良がやんわりたしなめる。まあ確かに、夜中に敵が襲ってこないとも限らないからな、と土御門の方もあっさりと引き下がった。

風呂は一応複数人数で入れなくもないくらいの大きさだったので、土御門と設楽、瀬良に分かれて入ることになった。

部屋については一応三部屋とってあった。土御門としては瀬良と同室でも全く構わなかったし、瀬良家と土御門家の関係を知っている設楽にしても、それを咎めることはしないのだが、『東京から来た刑事』という設定に反するのでここはやはり別部屋でしょうということになった。

ちっ、つまんねーなー

土御門がこう思ったのは、瀬良には内緒だった。

「おやすみなさいませ」

女将が就寝の挨拶をして引っ込んでいった。寝具もせんべい布団とは言わないが、それほど質の良いものでもない。土御門は一瞬、瀬良のところに襲いにいったろうか、と思ったのだが、多分、あの真面目な瀬良のことだから『お勤めは決められた通りにしかしません!』とかいうんだろうなと思ってやめた。

実は同じ頃、瀬良は瀬良で、『土御門様が襲ってきたら・・・』と考えて、お風呂でも身体を入念に洗ってみたり、若干肌の手入れとかも熱心にしていたりしたのだが、その気配がないことで、若干残念に思っていたのだった。

『なんだ・・・こないのか』

そりゃそうよね。私とあの人は別に恋人じゃないし。
主と使用人・・・だもんね。

そう思い、ふん!と思って、横になっていたところだった。

そんなこんなでうとうとしているうちに、土御門、瀬良、設楽はそれぞれの部屋で眠りに落ちていったのである。
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