第44章 真実一路(しんじついちろ)
言うと、御九里がゆっくりと手を開く。すると、何らかの術の作用であろうか、その金属の人形は、彼の両の手の間でふわりと浮かび上がった。そして、人形を中心として、ぼうっと彼の周りをオレンジ色の光が取り巻く。
御九里の口が開いた。その見た目からは想像もつかないほどの朗々たる声で、呪言が奏上される。
「久方の 月影のまに 出だしやらめや
ちはやぶる 常世の神よ 霊呼びにせよ」
ふわりと金属の人形から黄色いあったかな光の玉が浮き出ると、そのまま御九里の手から伸びるオレンジ色の光に乗って空に登っていった。
「迷うんじゃ・・・ねえぞ」
その光はちらちらと粉雪の舞い散る中、ゆっくりと立ち昇っていく。そして、そのまま月の光の中に溶けていき、最後には月光に紛れて、消えていった。
その様子を私とダリ、清香ちゃんと芝三郎はじっと見上げていた。
「さらばじゃ・・・環よ」
ポツリと、芝三郎が言う。その姿を見て、なんとなく、少しだけ、凛としてるな、と私は思った。
白雪が月光を翻す不思議な夜空に向かって、私達は、少しの間、天に帰っていった幼い生命を想い、彼女が望んだ母親の幸せを願っていた。