第44章 真実一路(しんじついちろ)
「あああ・・・あああ!うぐう・・・ああああ!」
この身を切り裂きたい。自らの臓腑を取り出し、そこらに撒き散らしたい。後悔しても後悔してもしきれない・・・。
どうしようもなく、胸をかきむしった。目を見開き、何度も叫ぶ。大きく腕をふるった拍子に、ピンと点滴の針が抜け落ちて、鋭い痛みが走った。それでも構わずに身を捩り、悶え、苦しみ続けた。
この・・・この行き場のない怒りを、悲しみを、悔恨を・・・一体、どうすれば・・・抱えられるというのだ・・・!
「おや・・・随分、後悔なさっていると見える」
女の声がした。誰もいないと思っていたのに・・・。そう思って、声のする方を見た時、私は己が目を疑った。
そこには黒い服の女がいた。頭にも黒いベールをかぶっている。そして、その足元には・・・。
「た・・・環!」
女の足元にいたのは確かに環だった。その姿は事故の日のままであったが、身体中に幾重にも重そうな鎖が巻かれており、その鎖の端は私に声をかけてきた黒服の女が握っていた。女の表情はベール越しであり、見ることはできなかったが、雰囲気からして薄ら笑っているように感じられた。
「何・・・をしている・・・!」
あまりにも非現実的な光景に、それ以上の言葉が出なかった。女は、私の問には応えず、手にした鎖をじゃらりと引いた。その動きで、環は無理矢理に引き起こされ、苦しそうにうめき声を上げた。
助けなきゃ・・・と思うが、身体が動かない。なんで!?どうして?
「おっと・・・動かれちゃあ困るんで、ちょいと術をね」
女はやや芝居がかったような口調で言った。ふざけているようにも感じられるが、縛られている環は確かに環だ。見間違えようもない。どうにか動こうとするが、何か不思議な力で身体を束縛されているようで、ある程度以上動かすことが出来なかった。なんだ?これは夢?夢なの?!
「ママ!助けて!!」
環が私に気づいたのか、声を上げる。その声に反応し、女がまたジャラリと鎖を締め上げた。
「おっと!余計なこと言うんじゃないよ?環ちゃん・・・。お前はこれから地獄行きだ」
その言葉に耳を疑う。地獄!?
なんで?環が・・・!?
「やめて!なんで?・・・あなた、何者なの!?環が何をしたっていうの?」