第43章 報恩謝徳(ほうおんしゃとく)
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「芝三郎・・・それなに?」
外出から戻ってきた芝三郎がリビングにある棚にごそごそ何かを隠そうとしているように見えたので、つい聞いてしまう。
びく!とわかりやすく肩を震わせてから、彼はそーっとこっちを振り返った。
「どしたの?」
「な・・・なんでもござらん!」
なんか・・・怪しいなぁ。
まあ、芝三郎が悪いことしているとは思えないけど。
「芝三郎、その紙・・・」
ソファでテレビを見ていたダリがひょいと後ろから声を掛ける。
「何でござる・・・だ・・・ダリ殿?」
紙?ああ、確かに今、隠そうとしているのは、どうやら画用紙のようだ。何か絵が描いてあるのが一瞬見えた。
「あやかしの気配がする」
ダリが言う。あやかし?
「拙者もあやかしであるがゆえ!」
画用紙を二つ折りにし、後ろ手に持ったまま後ずさる。別に取りゃしないけど・・・。
「まあ、いいのであるがな」
関心をなくしたのかダリが再びテレビ視聴に視線を戻した。
「いいけど・・・手、洗いなさいね。そろそろご飯よ」
「お・・・おう!」
言った芝三郎の目は、やっぱりなんとなく、泳いでいたのであった。