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天狐あやかし秘譚

第37章 愛別離苦(あいべつりく)


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【愛別離苦】愛する人と別れる辛さ。
その時はわからなくても、心に思う辛さをずっと噛み締めていた・・・、みたいな。
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「ダリ!」
ダリのもとにたどり着く。しかし、彼とホシガリ様との戦いに目を見開き、立ち止まってしまう。

何あれ・・・?

まるではやぶさのような鳥が二羽、空中で戦いを繰り広げているかのようだ。ほぼ残像しか見えない。ダリは例の退魔の槍を振るい、ホシガリ様の攻撃をはねのけ、地面に着地すると同時に、跳ね、彼女の攻撃を躱す。
そして、ホシガリ様の手にも・・・。

「あれは!?」

ダリが持つのと同じ退魔の槍があった。まさか、ダリの槍まで出すことができるというのか?宝生前によれば、神宝に関しては、全く同じもの、ではないにせよ、かなり近い性能のものを出せる、ということらしい。ダリの古槍も、同じ法則が適用されるとすれば、あの槍も相当の力を持っていると見るべきだろう。

ダリは涼しい顔でホシガリ様を空中で迎え撃ち、槍で打ち払い、時折彼女の腕や足に斬撃を加えている。今のところまだ劣勢のように見えないが、かといって優勢であるわけはない。なにせ相手は、死なない上に、無限に物を生み出せるのだ。
余裕がない証拠に、ダリは私の方を一瞥することすら出来ないでいる。

ガキイイン!

双方の斬撃が中空で切り結ぶ。耳障りな金属音が響き渡る。
やはり、ホシガリ様の槍が砕けることはない。

まずい・・・。私は周囲を見回した。宝生前さんはまだ来ないの?

「綾音さん・・・」
草介さんもこの場にたどり着く。彼は圭介を縛り上げてきてくれたのだ。

「すごい・・・」
ダリとホシガリ様との戦いを見て、彼もまた感嘆の声をあげる。

その時、ホシガリ様が私と草介さんの方をちらりと見た気がした。
ダリがホシガリ様を地面めがけて弾き飛ばす。その衝撃で、彼女の足が地面をえぐり取るように弧を描いていく。

「がああ!!」

獣のように吠え、彼女は槍の石づきを地面に突き刺した。

「ぐおおおおお!!!」

理性を失った目を天に向け、腹の底から響くような雄叫びを上げた。その声に呼応し、槍の先が光を放つ。

「何!?」
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