第36章 正真正銘(しょうしんしょうめい)
「どうやら、打ち止めのようだな・・・。本来は犯してから八つ裂きにしてやりたいが・・・」
破壊し尽くされた本家を見回す。
「ここまでされたんだ・・・。早くカタを付けて、ホシガリ様の封印を優先せねばならない」
ざっざっざっと私に迫りくる圭介。その目は怒りと支配欲に満ちている。
そのいやらしい顔つきは、異界で視た浮内の主にそっくりだった。
こんな奴らに!!
だが、打ち止めというのも確かだ。私は腰が抜けたようにへたり込んでしまっているが、後ろ手になんとか身体をずって距離を取ろうとする。でも、あまりの恐怖に足がガクガクして思うように立つことも出来ない。
ダメだ!・・・ダリ・・・
心の中で呼ぶが、遠くから剣戟が聴こえてきている。ダリもまた、ホシガリ様を抑えるのに必死なのだ。ダリがホシガリ様を解放してしまったら全てが終わってしまう。
ダリには頼れない・・・。
じゃあ、なんとか、なんとか時間を稼がないと・・・。
私は手近なものを引っ掴んで、圭介に投げつける。しかし、そんな者が通用するわけもなく、圭介はそれを右手で軽く払い除けてしまう。
恐怖に瞳が揺れる。涙が溢れそうになるが、そんなこと言ってられない。
宝生前、ダリ、みんな頑張ってる。
私だって!
「終わりだ」
だが、心ではそう思うのだが、全く術がない。私はとうとう圭介に両手でもって首を掴まれそのまま高々と持ち上げられてしまう。このまま、絞め殺す気?
「圭介!!」
その時、圭介の背後から声がした。草介さん?
手には屋敷の破片と思しき角材が握られている。たしかに先が尖って槍のようではあるが、今の圭介にそんなものが通用するとは思えない。
「あ?」
圭介もそれが分かっているのか、一瞥しただけで無視を決め込む。私の方を先に始末するつもりのようだ。
「があ・・・ああ・・・にげ・・て・・・草介・・さん」
なんとか言葉を絞り出す。ぎりりと首が締まる。こいつ、さっき私が首絞めたことを根に持って・・・。嫌な奴!!
「うわああああ!!!」
草介さんが声を上げて圭介に角材を突き立てようと突っ込んでくる。
ダメ!無理よ!」
ずぶう・・・と圭介の横腹に角材が刺さるが、案の定、圭介は意に介しもしない。そのまま私の首を締め付け続ける。