第2章 禍福糾纆(かふくきゅうぼく)
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【禍福糾纆】災いと幸福はより合わせた縄のように互い違いにやってきて、変転がきわまりないこと。
良いことが必ずしも良いことではなく、悪いことも必ずしも悪いことではない、みたいな。
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人生とは残酷である。
「どうか、どうか!超絶美形、イケメンに、骨の髄まで愛されますように!!!」
パン、パン!とヤケっぱちに柏手を打つ。
ここは東北のとある県の山の中。『天狐神社』と書かれた額のかかった非常に小さい神社である。
私の名前は浦原綾音。うら若き23歳の乙女である。
自分で言うのも何だけど、私はそこそこ可愛い、そして、スタイルもまあ悪くない。
髪はショートボブだが、サラッとしてて、結構さわり心地もいい。
性格・・・は・・・友達から言わせると「損する性格」って言われるけど、そんなに悪いやつじゃない、と信じている。
こんな、どこにでもいるような人間である私、にもかかわらず、どこにも転がっていないような不幸が群をなして襲いかかってきた。なんでだ!?
経緯は今年の4月に遡る。
めちゃくちゃ就職活動をしてやっと希望していた出版業界へのチケットを手に入れた。
意気揚々と入社し、そして、同じ4月にSNSを通じて知り合った人とお付き合いも始めた。
公私共に充実している、最高にハッピーな瞬間だった。
ほんの、1ヶ月位は。
お付き合いを始めた彼はプロカメラマンだった。何枚も私の写真を撮ってくれた。さすがプロ、普段は写真映りがあまり良くない私だったが、彼に撮られるととても可愛く写るから不思議だ。
交際は順調に進み、同棲する?って話にまでなっていた。ところが、ある日、彼が私を拝み倒してきたのだ。
「今度、個展をやるんだが、そこで共同で出資するはずだったやつが、親が急死して来れなくなったんだ」
俺一人じゃ個展を開くだけの資金が足りない・・・、だから、貸してくれ、と。
ええ、もちろん貸しましたよ。だって、困っているんだもの。必死だったんだもの。それに、彼の写真の腕前は本物だと思っていたんですもの。
300万、貸した次の日から、連絡が取れなくなりました。
そして、1週間もすると騙されたことに気づくわけで、(友人は1週間も気づかなかったの!?と呆れていたが)被害届を出したが後の祭り。300万は絶望的。
