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天狐あやかし秘譚

第17章 幽愁暗恨(ゆうしゅうあんこん)


キーキーと耳障りなほど声が高ぶっていく。狂っている・・・狂っているのだけがわかる。
なんだ、こいつ、なんだこいつ!

ぎゃはははははははは!!!!

大口を開けて笑う恐ろしい顔が目の前に現れる。確かに河西の顔だが、目はギョロッと上を向いており、全くこっちを見ていない。大口を開け、よだれを撒き散らしながら笑う姿は狂気以外の何ものでもない。

「きーもーちーよーくー!!!きーもーーーちいいいぃぃぃいいい!ぎゃあはははっはあは!!」

ビリビリと河西が俺の着ているものを切り裂くように破っていく。布を紙切れのように引き裂く膂力は人間のものとは思えない。

「ひーひー!!!」

涙が出てくる。悲鳴が止まらない。何をされる?何をされた!?
わかることはひとつだ。こいつは俺に、俺たちに復讐に来た。なんだかわからないなにかの力を得て。

「やめてくれ・・・やめてくれ!あやまるから!あやまるからああ!!」
ぐいっと顎を手でしゃくられる。四肢を失い、動かない身体はただただ震える。
「謝る?あやまる??あやまああるうのぉ?イヤよ・・・イヤ!許さない・・・許すわけない、ゆーるーさーなーーーーーいぃぃ!!!」

ぐあああ、ぎゃああ。
ななんだあ!!
やめろおお!!

周辺で同じような声が響く。あれは・・・あれは・・・
「お仲間も始まったみたいです。私の仲間・・・みーんなが協力してくれます。さあ・・・みんなで・・・」

コイツラを・・・オカしましょう・・・・

ぎゃははははははっは!!
 ぎゃははははははっは!!
ぎゃははははははっは!!
  ぎゃははははははっは!!

四方八方から同じような狂気の笑いが、哄笑が響く。やっと気づいた。
俺たちは、何十体という、化け物に取り囲まれているんだということに。そして、自分らが犯されようとしていることを、実感した。

今までずっと狩る側だった。そんな俺達自身が、歪んだ欲望の的にされる日が来るなんて、想像もしていなかった。

「うあ・・・あぐう・・・」
「があ・・・やめ・・・て・・・」
辺り一面に男たちのうめき声、すすり泣く声が響く。
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