第16章 鬼哭啾啾(きこくしゅうしゅう)
☆☆☆
「さーて!なんっでも好きなもんくーてぇな!」
土御門と名乗った男が両手を広げる。
はあ・・・。なんだ、この妙なテンションは。
宮内庁の人間と聞いていたが、とてもじゃないけどそうは見えない、派手派手しい格好をしている。赤やオレンジのサイケデリックな柄の半袖ワイシャツに、カーキのハーフパンツである。およそ公務員には見えない。
まあ、いいや。
一応メニューを見てみる。
しっかし、さすがホテルのカフェ。お高い!
ケーキセット3000円!?
コーヒーだけでも1500円!
な・・・なんじゃこりゃあ!
そう、私達は、土御門に警察署から連れ出され、近くのホテルのカフェに来ていたのだった。
「まあ、こんなんしかないけど、遠慮せずになんでも注文しーや。わいが奢るでぇ」
と言ってくれたのはいいけれど、あまりのお高さに目を見張る。
「土御門様?これは経費では落ちませんよ?」
土御門の横に控えてる、スーツを着た美しい女性がピシャリと言う。まるでできる秘書、みたいな?
「わーてるがな、瀬良ちゃん。これはわいのポケットマネーや」
どうやら女性の方は瀬良というらしい。それにしても、ここをこの土御門という人はポケットマネーから出す気なの?・・・なら、なおさらあまり高いものはやめておいたほうがいいのだろうか・・・。
そんな私の思いとは裏腹に、ちらっと見ると芝三郎はアフタヌーンティセット5500円のページを熱心に眺めているし、清香ちゃんはスペシャルケーキ2500円の写真をうっとりと見ていた。
ダリは・・・。あまり関心がないようだが、さっきから土御門が日本酒がないか飲み物カウンターの人に聞いている。
なんか、この状況で私だけ「コーヒー」とか言うわけにもいかない気がする。
えーい、この際、贅沢しちゃる!
「じゃあ、私はこの季節のアフタヌーンティセット、コーヒーで。芝三郎はインペリアルアフタヌーンティセット、ええと・・・日本茶?で、清香ちゃんはこれ?うん、スペシャルケーキとオレンジジュース、それから・・・ダリは?日本酒?わかった。じゃあ、それで」
締めていくらするのか・・・計算するのが怖い。